必需品と嗜好品ーたばこと塩の博物館ー

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ミュージアムレビュー

必需品と嗜好品ーたばこと塩の博物館ー

和田浩一郎 / Koichiro Wada

「文化遺産の世界」編集部員

たばこと塩の博物館です。ながく渋谷の公園通りにあった博物館で、2015年春にスカイツリー近くに移転しました。運営母体がJTであるため、このふたつの製品に特化した展示を行っています。

たば塩看板写真1 博物館の看板とスカイツリー

日本人には塩は海から採るものという先入観が強いように思いますが、世界的に見ると岩塩や塩湖からの採取が7割以上を占めるそうです。ヨーロッパにおける岩塩採掘の盛んさは、ヴィエリチカ岩塩坑(ポーランド)が最初の世界文化遺産に認定されたことにもうかがわれます。下はヴィエリチカ坑内にある礼拝堂の再現展示。シャンデリア、壁がん、聖人像すべて現地の岩塩製です。

写真2 ヴィエリチカ坑内に奉られている聖人像(複製)

タバコは南アメリカ原産と考えられており、アメリカの初期文明では宗教上の重要性を帯びていました(写真3)。アメリカ大陸を出たタバコは、もっぱら嗜好品として扱われるようになり、今日に至っています。

パレンケ写真3 右の脇柱にタバコを吸う神が描かれた神殿(パレンケ遺跡・メキシコ)

ヒトを含むあらゆる生物に不可欠な物質である塩と、いまや贅沢品になりつつあるタバコ。非常に対照的なものに焦点を当てた展示は、その内容のギャップが面白いです。スカイツリー方面にお出かけの際は、少し足を伸ばして訪れてみてはいかがでしょうか。なお日本の博物館には珍しく、展示室内の大部分で写真撮影が可能です。

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