vol.43

発掘庭園

―調査と整備―

発掘庭園とは往時の姿をそのままに残す、発掘された庭園のことである。庭園は寺社や住宅の付属的な空間であるが、日本の精神文化が鮮やかに示される場でもある。 庭園遺構は明らかにするのが難しい調査対象であるものの、近年は文化財庭園の修理・整備に向けた発掘なども行われ、詳細な記録、復元の事例も増えつつある。 本特集では、全国各地、各時代の発掘庭園の事例をご寄稿いただいた。千年以上にわたり日本文化を彩る庭園の姿を明らかにする、発掘庭園の魅力に触れていただければ幸いである。

表紙画像:六義園(蓬莱島)
六義園は元禄15(1702)年に完成した大名庭園である。文学に造詣の深かった川越藩主・柳澤吉保が自ら設計し、和歌や中国古典の景観が再現されている。蓬莱島は中国の神仙思想に登場する理想郷で、日本庭園では洞窟石組によって表現された。
撮影:和田浩一郎