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西海考古同人会編『西海考古』第12号

古門 雅高 / Masataka FURUKADO

西海考古同人会事務局

『西海考古』は、長崎県に関連した考古学テーマを中心に県内外の考古学研究者、愛好者が互いの研究を披瀝する同人誌として、同会が編集し、号を重ねてきた。

創刊は1999(平成11)年4月で、ここで紹介する第12号は2022(令和4)年3月に刊行された。

 

掲載された7本の論文や研究ノートなどの執筆者やタイトルは下記のとおりである。

 

宮﨑貴夫「在地壺と搬入された甕棺・大甕・大壺の検討-弥生時代後期の長崎県本土地域を中心として-」

【概要】本県本土部の弥生後期の大形の在地系壷を4つに類型化し、併せて外来系の甕・壷を検討することにより、同地の地域性ならびに地域間交流の様相を具体的に提示した論攷。

 

立谷聡明「古墳出現前夜における鉄製武器からみた地域間交流-西北九州と有明海沿岸地域を中心に-」

【概要】弥生時代後期後半から古墳時代前期初頭の北部九州(福岡・佐賀・長崎・大分各県)

における鉄製武器の様相と肥前型器台の在り方を検討し、それらの伝播ルートや西北九州地域と有明海沿岸地域との地域間交流ルートの復元を図るとともに、鉄製武器と肥前型器台の偏在や混在を指摘した論攷。

 

古門雅高「前方後円墳分布周縁地域の社会-長崎県本土部の古墳時代前期および中期を中心に-」

【概要】『西海考古』第11号掲載の「大形成人用甕棺墓分布周縁地域の社会」の続編で、本県本土部の古墳時代社会を集落と墳墓・威信財・祭祀の観点から考察した論攷。

 

宮﨑貴夫「いま磁器を使っているのは波佐見のおかげー日本の生活文化のなかの波佐見焼ー」

【概要】1990年代より長年波佐見焼の窯跡の発掘調査にかかわってきた筆者が、波佐見焼にまつわる様々なテーマを解説し、論評した一編。

 

礒村康行、大坪芳典【研究ノート】「門前タイプ土器の検討―長崎県における縄文時代早期後葉の土器研究【序章】―」

【概要】長崎県佐世保市門前遺跡で平成16(2004)年発掘当時、型式不明とされた縄文土器を近年の九州における縄文早・前期の土器編年研究の成果に照らして編年的位置づけをおこなった論攷。

 

土岐耕司【研究ノート】「石製羽口の集成」

【概要】石製羽口の全国的な集成成果を掲載した論攷。その偏在性や希少性などについては

今後の課題である。

 

宮下雅史、竹田ゆかり、渡邊康行【資料報告】「長崎市三重地区・東上遺跡について―五島灘(角力灘)を望む弥生時代砂丘遺跡の予察的評価―」

【概要】前半は東上(ひがしあげ)遺跡表採石器の検討結果から鍛冶遺構の存在を推定し、後半は、過去に大形成人用甕棺が不時発見された同遺跡に歴史的な評価を与えた論攷。

 

 

なお、本誌はPDFを公開しているので、本サイトからもダウンロードが可能である。

 

こちらからPDFが開きます。 *サイズが25MBほどありますので、通信環境の良い場所でダウンロードをお願いいたします。

公開日:2023年5月2日